
『おおいおおい、あたしの彗星石鹸やぁ〜いっっ!』
赤い赤い、月の下の世界に生き物が住み着くようになって、はや千年。
科学が飽和し魔法になって、政治が飽和し哲学にとってかわって幾百年。
それでも月には有史以前からずっとずっと星からのお客様がいらっしゃいます。
不思議な石をその手に運んでくる方がいらっしゃれば、そこは鉱山になりました。
まばゆい光とともにいらっしゃった方は、音とゴミと、死体の山になりました。
こんな世界でも、星からのお客様を最初にもてなした人の名をつけるのです。
たとえば・・・ほうき星の「ちり」からとれる、それが彗星石鹸。
『もし、わたしが見つけたら・・・・』−−−−それは一攫千金の夢。
高圧高温なんて日常茶飯事の月の裏にゃあ、ダイヤなんて珍しくもない。
石油だってあったし、ウランだってあった。レアメタルはもうレアメタルじゃない。
彗星石鹸に自分の一族の名をつけること・・・これが私の夢。